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2010年8月22日 (日)

街場のメディア論  内田樹

続々出る内田本です。でも、私は内田先生の論説が好きですし、大変共感する部分が多いのでやはり買ってしまいます。『街場』シリーズ4冊目です。

内田樹 『街場のメディア論』 光文社新書

この本は神戸女学院大学での講義、キャリア教育プログラムの一環としての「メディアと知」の中から生まれたものだそうです。私の大学にもありますから、文科省の通達によるキャリア教育の一環が根本にあります。大学生に将来についてのビジョンを持ってもらいたいので、2年生にキャリアについて考える授業ということです。

今日本のマスメディアで起こっていること、言説がどういうところから生まれてくるかを説き起こしています。「定型」で語り、対立を煽る方法論が一体どういう背景からうまれてくるのか書かれています。学校で病院で起こる、私は悪くない、被害者意識が蔓延していること、市場原理を公共の場に持ち込むことの愚かしさが語られています。

たぶん最後の章における「贈与経済と読書」が一番大切な章です。贈与してもそれだけでは贈与ではない、「ありがとう」と受け取る側がいてこそ贈与になる。「これは私のための贈り物だ」と思えるとそれが贈り物になる。本についても語られていますが、最初はだれでもだれかにもらった本を読む、図書館の本を読む、家族に読んでもらう、友達に本を借りる、でも読んでいるうちに自分でも買おうと思うのですね。

いつか役に立つと察知する、そのことがすでにその人にとっての「贈り物」であるとのこと。そして貰った人にではなく、他の人に「パス」すること。このへんは私にとってはとても理解しやすいことです。私にとって今価値あることは、両親なり私に色々教えてくださった先生方から与えられたことなのですが、それをあげられる人はくださったその人々ではありません。次の人々、私がこれを渡してあげたいと強く思っている(たぶん子どもから大人までの色々な生徒さんたち、それから友人・知人、ワークショップに来てくださる方々など)人たちなのです。

知の力を信じていますが、それには魂もこもっていなければならないです。これをやったらTOEIC○○点アップなどと保障はしません。でも、多読やそれに一緒にくっついてくる色々な学びには、自分の心をゆさぶる何かがあります。続けていくうちに英語の力が上がったり文化について認識が深まり、もっと色々なことを考える力がつくでしょう。

内田樹先生の著作は大学生でもわかりやすいと思いますので、茶柱くんや生徒たち、大人の人々にもお勧めしたいと思います。それからいただきものはどんどん周りの人にあげましょう。本でもおせんべいでも、何でも、いつも独り占めにするより、人に差し上げれば得したいと思うわけではないけど、めぐりめぐって自分に戻ってくるのというのが私の母の主張です。

商品の詳細

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